※労働基準監督署で申請できる「未払い賃金の立替え払い制度」もあります。⇒詳しくはこちらへ


Q : 地震による一時的な「休業」でも、失業給付を受けられますか?
A : はい。 被災地の特例措置により、受けられます。

本来は、失業給付は退職や解雇などにより「失業」した場合に受けられるものです。
しかし、震災による特例措置により、 事業所が災害を受けて休業している場合には、失業給付を受けられます。
厚労省メルマガ
厚労省は、将来的に職場に戻る予定のある「一時的な離職」の場合にも、失業給付の基本手当を支給する「特例措置」を実施すると発表しています。 
また、福島第一原発の事故により避難指示(20km圏内)や屋内退避指示(20km〜30km圏内)を受けた事業所の労働者も、失業給付を受けられることになりました。
※ 特例措置の案内厚労省リーフ(1) 厚労省リーフ(2) 
               岩手県 宮城県 福島県 茨城県
※ 福島第一原発の周囲で避難指示を受けた場合⇒ 福島原発関連の特例措置

※ これとは異なり、勤務先から受取る「休業手当」についてはこちらのQ&Aへ


Q : 失業給付は、どこで申し込めますか? 
A : ハローワークです。被災された方は、住所地以外でも申請できます。

通常は、住所地のハローワークで失業給付を申し込みます。
しかし、被災した人は、特例により住所地以外のハローワークでも申請できます。(厚労省の案内リーフ
※ ハローワークの所在地・連絡先⇒ 岩手県 宮城県 福島県 茨城県


Q : 「離職票」がなくても、失業給付の申請はできますか?
A : できます。 あきらめる必要はありません。

事業主が離職票を発行できない場合でも、ハローワークで「雇用保険の被保険者であったことの確認」を請求することができます。 この制度を利用すれば、離職票がなくても失業給付を申請できます。(雇用保険法8条・9条)
被災地の特例として、事業主が発行した「休業票」を提出して失業給付を受けることもできます。
厚生労働省は、「離職票を発行してもらえない場合は、ハローワークに相談してください」と広報しています。 (厚生労働省の発表
ですから、「離職票がないから失業給付はもらえない」とあきらめる必要はありません。


Q : パート、アルバイトでも失業給付を受けられますか?
A : 受けられます。ただし、勤務期間・勤務時間の条件があります。

パート・アルバイト・契約社員・派遣労働者でも、雇用保険は適用されます。
ただし、週20時間以上の勤務で、2年以内に通算12か月以上(各月ごとに11日以上)勤務していたことが必要です。 この条件を満たせば、失業給付を受けることができます。
失業給付の制度について、詳しくは⇒雇用保険・失業給付の解説(厚生労働省)

    ※ 上記のほか、雇用保険についての質問は ⇒ 厚労省「雇用保険Q&A」へ
    ※ そもそも解雇(退職)に納得できない場合は ⇒ こちらのQ&Aへ
    ※ 退職までの給料を払ってもらいたい場合は ⇒ こちらのQ&Aへ
 




Q : 労災保険とは、どのようなものですか?
A : 自己負担なしの治療や、休業補償を受けられる制度です。

労働者(従業員)の方が、仕事中や通勤・帰宅中に震災でケガをした場合、「労災保険」を活用できます。 次のような補償があります。
*無料で受診(通院・入院)・・・自己負担なしで病院に通院・入院できます。
*休業補償・・・休業による減収の補償を受けられます。
*遺族への補償・・・仕事中に被災して死亡した方のご遺族は、遺族給付金(遺族年金、遺族一時金)を受け取ることができます。

従業員1名だけの事業所でも強制加入になるのが労災保険です。幅広く活用しましょう。


Q : 労災で治療を受けたい。 どこで申し込めばよいですか?
A : 病院へ直接行って申し込めます。被災地の特例で、手続が軽減されました。

被災した方は、労災指定の病院へ直接行って、労災による無料の治療を申し込むことができます。
なお、労災指定病院は、以下のとおり多数あります。
 岩手県421施設   宮城県659施設
 福島県614施設   茨城県493施設
これは(財)労災保険情報センター登録数であり、実数はもう少し多いと思われます。
「○○労災病院」という名称の病院でないと労災診療を受けられない訳ではありません。
※労災指定病院は、こちらで調べられます。
 ⇒ 宮城県 福島県 茨城県  全国の労災指定医検索

※本来は、労災により自己負担なしの治療を受けるに場合、労基署そなえつけの請求用紙に会社の証明印を押して病院に提出する必要があります。
しかし、被災地の特例により、会社の証明印がなくても、正式の請求用紙がなくても、病院に直接行って労災による自己負担なしの治療を申し込むことができます。
※ 労働局からの案内 ⇒ 宮城県労働局の場合(1)  宮城県労働局の場合(2)


Q : 労災申請をしたいけど、会社や病院の書類を用意できません。
A : 被災地の特例で、会社の証明印なしで労災申請をできます。

労災による治療は、病院で直接申し込めます。
また、傷病による休業の補償は、事業主や病院の 証明印をもらって労働基準監督署に申し込みます。
しかし、今回の地震により被災したために、事業主や病院の証明書を入手しにくい場合は、証明がなくても請求を受け付けます。  (厚労省メルマガ) (宮城県の例


※ 労働基準監督署の所在地・連絡先 ⇒ 岩手県 宮城県 福島県 茨城県


Q : 通勤途中に被災してケガをした場合、労災保険を受けられますか
A : 受けられます。 帰宅途中のケガも、同様です。
通勤・帰宅途中に被災してケガをしたばあいは、「通勤災害」として、労災による補償を受けられます。
たとえば、「地震だから今すぐ帰宅しなさい」 と指示されて帰り始めた直後の負傷も、労災による補償の対象になります。


Q : 勤務時間中に、震災で負傷した。労災保険を受けられますか。
A : はい。 幅広く、労災の補償を受けられます。

   死亡した従業員のご遺族も、労災補償を受けられます。
仕事中に地震や津波により負傷した場合、労災保険を受けられます。
自己負担なしの治療(通院・入院・投薬)や、休業補償を受けられる制度ですから、幅広く活用しましょう。
厚労省も、「仕事中に地震や津波に遭い、ケガをされた(死亡された)場合には、通常、業務災害として労災保険給付を受けることができます。」と明言しています。( 厚労省 「震災と労災保険Q&A」 )

たとえば、以下のような場合に、労災が適用されます。
 *仕事中に地震や津波にあい、負傷・死亡した場合
 *船員が船上で津波にあい、船が転覆して負傷・死亡した場合
 *仕事中に地震による避難指示を受けて避難中に、津波により負傷・死亡した場合
 *出張先で仕事中に地震や津波で負傷・死亡した場合
 *休憩時間中に地震や津波で負傷・死亡した場合
 *外回りの営業に出ていた従業員が地震や津波で死亡した場合

※幅広く労災が認められることについては・・・
   厚労省 「震災と労災保険Q&A」   福島県労働局 H23.3.28発表
   岩手県労働局 H23.3.25発表

※本来は、労災保険は 「業務による傷病」を補償する制度です。 しかし、「震災による傷病は補償されない」 というのは誤解です。
たとえば、地震や津波により勤務中に会社や事務所が倒壊して被災した場合は、その職場自体がもともと危険だったために被災したと考えられます。 このような理由での負傷は、労災の補償を受けられます。

※ 平成7年の阪神大震災のときにも、もともと危険な業務に従事していたために被災した場合には、労災により補償されるという通達が出されていました。 厚労省が示す例として、次のような負傷は労災の補償を受けられるとしていました。
   ・作業現場でブロック塀が倒れた
   ・作業場が倒壊した
   ・事務所が土砂崩壊により埋没した
   ・バス運転手が落石に見舞われた
   ・工場・倉庫から屋外に避難する際の負傷
   ・避難の途中、車庫内のバイクに衝突した   (厚労省H23.3.11通達


厚労省H23.3.11通達は、業務の危険性が震災により現実化した場合は「業務起因性」を認めるとしたうえで、天災による傷病だからといって労災を認めないという予断をもたないよう通知していました。さらに平成23年3月24日に、厚労省は 「震災と労災保険Q&A」を発表して、幅広く労災の適用を認めることを明らかにしました。)




Q : 自宅が被災して、健康保険証がなくなりました。
A : 被災した方は、被保険者証がなくても医療機関で治療を受けられます。

今回の震災では、被災者が保険証を紛失した場合は、氏名・生年月日・勤務先・住所などを言えば治療を受けられます。(厚労省H23.3.11連絡A) 保険証がなくても治療を受けられます。
なお、各種福祉制度による医療券・療育券などを紛失した場合も、治療を受けられます。
 (厚労省H23.3.11通知B


Q : お金がなくて、治療費や健康保険料を支払えません。
A : 被災者は、無料での治療
(支払い猶予)や、健康保険料の減免など
  の特例措置を受けられます。

今回の震災では、下記の方は2011年5月末まで治療費の窓口負担の支払い猶予を受けられます。 つまり、窓口での支払いなしで治療を受けられます。(厚労省H23.3.23通達
病院窓口での費用負担なしで治療を受けられるのは、次の場合です
   @ 自宅が全半壊、全半焼、これに準ずる被災をした場合
   A 主たる生計維持者が死亡また重傷・重病を負った場合
   B 主たる生計維持者の行方が不明である場合
   C 主たる生計維持者が業務を廃止・休止した方
   D 主たる生計維持者が失職し、現在収入がない方
   E 原発事故による避難指示により避難した場合

このほか、保険料の減額・免除の措置については柔軟に実施するよう通達が出されています。
事業所の使用者負担分の保険料についても、納付の猶予などの措置がとられました。(厚労省H23.3.11通達C

※相談活動に取り組む方は、初期の関係通達として、厚労省H23.3.18通達も参考にしてください。



▼解雇・休業について ▼内定取消について  ▼給料の減額について  ▼その他の労働条件について

Q : 「震災で減収になる」という理由で解雇(クビ切り)されましたが、
   納得できません。

A : 震災だからといって自由には解雇できません。まずはご相談ください。

解雇は従業員の生活手段を奪う重大な処分です。
したがって、経営者は自由に解雇をできる訳ではありません。
解雇は法律により制限されています(労働契約法16条)。
このことは、震災を受けた場合でも同じです。
震災による減収・経営難を理由とする解雇は、以下の4つの条件を満たさないと違法・無効です。
  @人員削減の必要性がある
  A解雇しないためのギリギリまでの経営努力がされた
  B解雇される者の人選が合理的
  C事前に従業員への説明や協議を尽くした
⇒これらの条件を全て満たさないと、解雇は違法です。
よく検討して、場合によっては職場復帰や給料支払を求めましょう。


Q:自宅が被災して通勤不可能になった。1週間休んだことを理由に
  
解雇された・・・。
A:従業員の怠慢による欠勤ではないので、解雇は不当です。
就業規則(社内規定)で、「欠勤した者は解雇される」と定めている場合があります。
その場合でも、あらゆる欠勤が解雇の理由になるものではありません。
そもそも解雇は、法律によって厳しく制限されています(労働契約法16条)。
したがって、「解雇される」という社内規定も、この法律の範囲内だけで適用されます。
ご質問のケースは、従業員の怠慢・過失による欠勤ではありません。 したがって、解雇という重大な処分をすることは、「社会的に相当ではない」ものであり違法・無効です。
 (※ 通勤不可能のときは、欠勤ではなく、「公休」か、せめて「有給休暇」にするよう求めましょう。)


Q : 天災のため会社が休業。給料はどうなりますか?
A : ケースに応じて違います。給料全額または休業手当を請求できる場合
   があります。
  
    (派遣労働の場合は、次のQ&Aもご覧ください。)
(1)まったく経営できない不可抗力の場合
この場合は、残念ながら解雇される可能性があります。
それでも、未払いの給料は請求できます。 そして、未払いの給料を受け取るために、会社の土地や預金などの財産の「差し押さえ・強制執行」の手続をとることができます。
会社が再起不能で廃業が確実な場合は、労働基準監督署で「未払い賃金の立替払い制度」を申し込むこともできます。
(2)天災をきっかけとした経営者の判断により休業になった場合
会社側に休業の原因(帰責事由)がある場合は、給料の全額を請求できます (民法536条2項)。
そうではない場合でも、休業が「まったくの不可抗力」とはいえず、震災に関連する流通機構の不円滑、原材料の欠乏、行政庁の勧告による操業停止などの場合など、要するに「休業の理由が従業員側にない場合」は、休業手当として通常給与の60%を請求できます (労働基準法26条)。 事業継続が不可能ではないのに、経営者が休業と判断した場合に、それによる不利益を全面的に従業員に押し付けることはできないからです。
なお、休業手当を支払う事業主への援助金制度があります。⇒こちらへ
【関係する法律】
民法536条2項(事業主に帰責事由がある休業の場合、給料全額を支払う義務がある)
労働基準法26条(休業手当は給料の60%)


Q : 派遣社員です。震災の後、「休業です。来なくていいです」と言われました。
A : この場合でも、原則として派遣会社から給料100%を請求できます。
(1) 派遣先は、休業を命じることはできません
そもそも派遣労働者は、派遣会社との間で契約をしているので、派遣先が派遣労働者に休業を命じることはできません。したがって、派遣先が「休業」を命じた場合、とりあえず出勤する必要はありませんが、給料は派遣会社(派遣元)から100%支払を請求できます。
(2)派遣会社が「休業」を指示した場合でも、給料100%を請求できます
そもそも派遣会社は、その派遣労働者が休業になることを回避することができます。
つまり、他の派遣先での就労を確保すればよいのです。
にもかかわらず派遣労働者を休業させることは、派遣会社の責任で休業状態を作っているのと同様です。
したがって、派遣会社から給料の100%を請求することができます。
(※ これについての高等裁判所や最高裁判所の判例はありませんが、多くの労働法学者は上記の見解です。)
(3) 派遣先は、原則として派遣契約の中途解除をできません
派遣先は、派遣契約の中途解除をできません(労働者派遣法27条)。正当理由のない中途解除は違法・無効です。
したがって、派遣先が違法な契約解除をした場合でも、派遣会社は派遣労働者に対して給料100%を支払う必要があります。
(4) 派遣会社は、派遣先が休業になっても、安易に派遣社員を解雇できません
もし派遣先が閉店や操業停止になった場合でも、それだけを理由にして派遣会社が派遣労働者を解雇することはできません。 そもそも上記のように派遣先による中途解除は原則として認められていないのですから、これを受け入れて派遣社員を解雇することは労働契約法16条違反(合理的かつ相当とはいえない)になります。

【関係する法律】
民法536条2項(派遣会社の帰責事由による休業の場合、給料100%を請求できる)


Q : 休業手当を払ってほしいけど、会社も大変な状況です。
   何か利用できる制度は?

A : 「雇用調整助成金」を活用するよう、提案してみましょう。
上記のQ&Aのとおり、給料の60%相当の「休業手当」は法律で保障されます。
しかし、休業手当を払うのが苦しい会社もあると思います。
そんなときは、経営者に対して、「雇用調整助成金」の活用を提案しましょう。
これは、企業が従業員を解雇せずに、雇用を維持して「休業手当」を支払う場合に、その8割を助成する制度です。
事業主は、ハローワークまたは労働局で、この助成金を申請できます。
2011年3月17日に、厚生労働省は、1か月前または前年同期と比較して5%以上の売上減少が見込まれる場合には、「雇用調整助成金」を利用できるという特例措置を通達しました。
詳しくは、こちらのページへ⇒ 雇用調整助成金の紹介ページ


Q:4月から就職が決まっていたのに、震災を理由に、「内定取消」と
  言われました。

A:内定取消は、よほどの理由がないと違法です。あきらめないで。

採用内定した時点で、雇用契約は正式に成立しています。
したがって、企業側が一方的に取り消すことは原則として不可能です。
そのことは、もし「内定を取り消すことがある」という条項があっても同じです。
裁判所の基準では、例外的に内定取消が認められるのは以下の場合だけです。
 @ 内定当時に判明・予想できなかった事情が生じた。
 A それにより内定取消をすることが社会的に是認できる。
 B 内定取消をしないための努力を尽くした。
 C 内定者に対して内定取消の事情を十分に説明した。
⇒以上の条件を満たしているか、よく検討しましょう。
経営には多種多様のリスクが存在します。
天災や経済情勢による減収だからといって、必ずしも「予想できなかったと」は限りません。
「震災だから内定取消は仕方がない」とあきらめる必要はありません。


Q : 「非常時だから今月の給料は50%カット」と言われました。
A : 一方的な給料カットは法律違反です。

給料は、雇用契約が定める重要な労働条件です。
従業員と企業が結んだ契約である以上、企業側が一方的に変更することはできません。
そのことは、震災により経営状況が変化した場合でも同じです。
給料を減額するには、@従業員一人ずつの同意、またはA労働契約法9条・10条による正規の「就業規則の変更手続」(労働者過半数代表の意見聴取、労働者への周知、そして労基署への届出)が必要です。
そうした手続がふまれない限り、一方的な給料カットは違法・無効であり、これまでどおり正規の給料額を請求できます。


Q : 会社が被災・事業停止して会社財産はない。せめて、給料の未払い分を
   受け取りたいです。

A : 「未払い賃金の立替え払い制度」を利用しましょう。労基署で申し込めます。
   
 被災された方は、申請が簡易・迅速になる特例措置があります。
企業が倒産や事業停止をした場合、「未払い賃金の立替え払い制度」を利用できます。
これは、過去6ヵ月間の未払い給料のうち80%の支給を受けられるものです。
1年以上事業継続した企業で、未払額が2万円以上ある場合に利用できます。
その人自身の勤続年数は関係ありません。
勤務先が会社法人でも、個人企業でも、利用できます。
会社が労災や雇用保険に加入していなくても、この制度を利用できます。
会社が正式に倒産(破産)した場合だけでなく、震災などにより事業再開の見込みがない場合にも、この制度を利用できます。
申込み先は、労働基準監督署です。 労基署で、勤務先企業の「事業停止(事実上の倒産)」を認定してもらって、申請をします。

今回の東日本地震で被災された方は、必要書類が入手しにくいことを考慮して、手続が簡易・迅速にされるよう配慮されています。まずは、労基署へ行って申請しましょう(厚生労働省H23.3.23通達)。

※ 「未払い賃金の立替え払い制度」の案内
   ⇒岩手県(←分かりやすい案内です。他県の方も参照してください)
     宮城県
  厚労省の通達  
※ 労働基準監督署の所在地・連絡先 ⇒ 岩手県 宮城県 福島県 茨城県
※ このほかに活用できる制度 ⇒ 厚労省からのお知らせ


Q : 地震で被災しました。急な出費が必要なので、給料支給日を早めてほしい。
A : 天災による場合、給料日より早く支払うよう請求できます。

毎月の給料日を待っていられない場合もあります。
そこで法律は、災害、出産、病気など「非常の場合」には、給料日前でも、それまでの分の給料を請求できると定めています。
災害で従業員自身が被災した場合だけでなく、家族が被災(負傷、死亡)した場合や、やむを得ず1週間以上帰郷する場合も、この制度を利用できます。
なお、社内の見舞金規定・慶弔規定もよく調べて、申請できる制度は利用しましょう。

【関係する法律】
労働基準法25条 (天災など「非常時」の給料先払い)
労働基準法施行規則9条 (「非常時」の具体例)


Q : 被災して会社に連絡がとれないまま休んだ。有給休暇にしてほしいのに、
   「事後連絡ではダメ」と言われて「欠勤」にされた・・・。

A : 公休になるよう求めましょう。 または有給休暇の事後取得をしましょう。
被災して職場に連絡を取れないまま休んでしまう場合があります。 しかし、これは従業員の過失や怠慢によるものではないのですから、懲戒処分や不利益評価の理由になる「欠勤」にすることは不当です。
社内制度として、「公休」の制度があるならば、公休を認めるよう強く要求しましょう。
「公休」が無理なら、せめて「有給休暇」にしてほしいと求めましょう。 有給休暇は、法律上は事前の許可」がなくても休める制度です。 事前連絡がないと有給休暇をとれない訳ではありません。 とりわけ、震災が理由の場合は、事前連絡できなかった従業員に「過失」や「職務違反」があったとはいえません。 ですから、最低限でも欠勤ではなく有給休暇とされるべきです。
【関係する法律】
労働基準法39条(有給休暇には、会社の「事前許可」は不要)


Q : 災害を理由に、時間外労働や休日出勤を指示されます。
   これには限度はないの?
A : 非常時の残業命令は法律で認められています。しかし、限度があります。

(1)残業を認める「労使協定」がない場合でも、災害などによる「臨時の必要」がある場合は、残業や休日出勤を命じることができます。 ただし、労働基準監督署への届出が必要です。 
「労使協定」も「労基署への届出」もないのに、当然のように残業を命ずることはできません。
(2)上記の「労基署への届出」がある場合でも、単なる「業務の繁忙」など経営上の必要による残業や休日出勤の指示は認めない、というのが厚労省の運用基準となっています。
(3)残業を認める労使協定がある場合でも、以下の業務の場合は、残業は1日2時間以内とされています。
  ・放射線、粉じんにさらされる業務
  ・重量物の取扱いなど重い激務
  ・激しい騒音や振動を受ける業務
  ・著しく寒冷または暑熱な場所の業務
⇒災害復興の業務の多くは、これに該当します。 これに違反して長時間の残業を強いる命令は違法です。
【関係する法律】
労働基準法33条(非常時の残業命令)
労働基準法施行規則18条 (激務の残業は、1日2時間以内に制限される)


Q : 粉じんや放射能が心配な地域での業務を指示されました。
   断れないでしょうか?
A : 生命・健康の重大な危険がある業務命令は拒否できます。
   慎重に対応しましょう。
経営者は、業務命令を発する権限をもっています。
しかし、どんなに危険な業務でも命令できる訳ではありません。
経営者は、放射能や粉じんによる健康障害を防止する措置をとる義務があります。
生命や健康への「重大な危険」が存在する場所での業務命令は、雇用契約による命令の「限界」を超えています。
雇用契約において、通常の危険(ちょっとしたケガの可能性など)を伴うことはあっても、それを超えて、生命・健康への「重大な危険」まで甘受しなければならない義務はありません。
そのような業務命令は拒否することができます。
(ただし、指示された業務命令が「重大な危険」のあるものか、慎重な判断が必要です。)
【関係する法令など】
労働安全衛生法22条(健康障害を防止する措置義務)
労働安全衛生法25条(危険な業務を中止させる義務)
最高裁判所・昭和43年12月24日判決(千代田丸事件。生命・身体に危険を及ぼす業務の拒否を理由とした解雇を違法・無効とした。)


Q : 地震により営業所が廃止されたので、遠方への異動を命じられました。
    従うしかないでしょうか?
A : 異動の命令は、違法・無効の場合があります。
   慎重に検討しましょう。
遠隔地への異動(配置転換)命令は、経営者が自由にできる訳ではありません。
@異動をするべき「業務上の必要性」があり、A人選の合理性があり、B従業員が受ける不利益への配慮がされており、C異動についての説明や協議が十分された、という条件を満たす必要があります。
震災で営業所が廃止された場合でも、次のような場合は、BやCの条件を満たさず、遠方への異動命令は無効となります。
≪異動が違法・無効とされるべき例≫
 ・まだ近くに営業所があるのに、遠方異動を命じている場合
 ・営業所以外の近隣の会社関連施設での勤務が可能な場合
 ・従業員が育児や介護のため移動できない事情がある場合
 ・遠方への異動に伴う不利益緩和措置(手当支給、準備期間、期間限定など)がない
 ・営業所廃止の必要性や、異動先での待遇などについて説明がない



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